番外編

ネコの話

 

     5月のある朝、ベランダのガラス戸を開けるといきなり野良猫の家族がそこにいた。母猫はすごい形相で唸ってくる。ちょっとここ私の家なんですけどと言いたい!どうやら、前の晩にフェジョアの木を伝って母猫が子猫を2匹くわえて運んで来たらしい。そんなに唸られても困るんですけど。植木に水やったり、洗濯物干す度にうーうーされても大変だなあ。それにちいさい体で、まだ大人になってないようなお母さんじゃないの。

と、取りあえずご機嫌取りにご飯をやってみる。勿論お腹がすいているらしく食べた。しかし、ベランダを覗くたびに牙を剥いて唸ってくる。母親はちいちゃくても強いなあ、子供守ろうと必死なんで何だかとっても見ていて健気なんです。

  3回ほどご飯を食べさせると、もう唸らなくなった。その代わり、ニャアと甘えて鳴くようになってご飯の催促をするようになった。悪い気はしないんだけど・・・

我が家には、ちーちゃんという去勢した 雄猫がいるのです。一度母猫に唸られて、3日間2階にも上がってこない。どうやら相性が悪いらしい。この先どうなっちゃうんだろうと不安になって来る。でも子猫は小さくてとってもかわいい。どうやら2匹ともメスのような感じです。丁度展覧会中だった、「千雅堂」さんで里親募集の張り紙をしてもらった。

 

行きつけの獣医さんと家の前にも子猫の里親を探す張り紙を出してみた。

  母親猫は、家で何とかすることなるのかなあと漠然と考えていた。数日後、近くで猫を何匹か面倒を見ているおばあさんが犬の散歩で通りかかったので事情を話してみる。すると、思いのほかすんなりと引き取ってくれると言う。それも親猫も一緒に。私の事はやさしい人だといってくれるし、「ああよかった!」とホッとして家の張り紙を剥がした。すると間もなく、玄関のチャイムがなり、三軒となりのUさんがもう決まってしまったのかと残念そうに尋ねて来た。なので一匹はそちらに貰っていただくことにする。三匹まとめて年寄りに押し付けてしまうのは、いささか申し訳ない気もしていた。2、3日後にヤマアラシみたいな毛色の子は引き取られていった。お母さん猫は一匹姿が見えないので探しているがしかたがない。残った子を一生懸命に世話をしている。子猫もいろんなところに上ったりするようになってきて植物をかじってサボテンを踏み倒したりしている。でも、本当にいたいけな女の子といった顔をした子猫なのです。しばらくお世話をしてるうちに私も大分情が移ってしまい、仕事などしているうちに、また数日が経った。残った親子をおばあさんのお家に引き取って貰おうと、取りあえずお宅に伺ってみた。

  すると、対応に出た娘さんから予想もしない話の展開になり、おばあさんは何と脳腫瘍と分かったばかりでもう手術の出来る状態ではなく、これからの介護に備えて室内を改装しているところだった。とてもこれ以上猫を飼える状況ではなかった。後はチビちゃんに里親を見つけてあげるしかない。という話になり、避妊手術費用の安い獣医さんを紹介頂き、そんなに美形でもないしっぽ曲がりの母猫は、家で面倒見るしかないだろうと観念して家に帰ってくる。

 早く里親を捜してあげようと思い、その前日に久しぶりにお会いしたWさんに電話をしてみる。Wさんのところにはプーちゃんという猫がいたのは知っているがもう一匹飼ってくれないかなと思いかけてみた。すると驚くことに、プーちゃんは今年の初めに毒殺されて河原に捨てられてあったのを奥さんが散歩の途中に発見したという、ひどい話を聞かされた。

    また猫を飼うことにはためらいがある様だったけれど、かわいい画像もメールで送り、お願いして飼って頂けることと相成り、翌日に引き取られて行ったのでした。  2へ続く