ネコの話2

 

 子猫が引き取られて行った後、母猫ビーはいなくなった子供を捜して鳴いていた。

    しかし、子猫がいなくなったとたんに、その夜父親とおぼしきでっかい野良猫がベランダの下でニャーニャー鳴いていた。それに反応してビーも2階ベランダでころころ転がっている。「エッ、信じられない!もうお母さんじゃなくって、 牝猫なの?」っと私。だいたい汚らしい傷だらけの親父猫で、家の飼い猫チー太とよく喧嘩になっている、我が家の天敵ネコなんであります。 追い払おうとその辺にあったものを野良親父猫に投げつけたり、シッシッとこちらも威嚇してみた。

しかし、なんで分かるんだろう。子供探して鳴いている。イコール子供はいなくなったみたいに雄は察知するんだろうか?

  その後もベランダに上がって来てる親父野良を見かける。ビーは案外親父趣味のようだ。とにかくいずれまた、子供が出来てしまうんだろう。少し落ち着いたら避妊をしてもらうことにする。

  この頃になると、飼い猫のチーちゃんは以前は木を伝ってベランダからも出入りをしていたのに、全く二階に上がらなくなってしまっていた。私のベッドでも野良家族が来て以来一度も寝ていない。

 

チーちゃんは、野良のビーが現れる前日まではこんなあられもない格好でベッドで寝ているようなネコだった。

しかし、子供のいなくなったビーが少しずつ私に近づいて、チーちゃんはだんだんと家から離れて行った。

ビーの避妊手術の日が決まり、先生が引き取りに来てくれる。この送り迎えしてくれるのが、 車がない私にはとても助かる。以外とおとなしく病院のケイジに納まり連れて行かれた。

    翌日少し早めに帰り先生が来るのを待った。この日は豪雨と雷で久々の停電などもありとんでもない晩だった。ビーを連れて来た先生は、また妊娠していましたので、料金が3000円増しですと言った。「えっ、ついこの間まで子供におっぱいあげてたのに?」と私が言うと、とてもまれなケースではありますが、と先生がおっしゃる。そしてお腹を汚さないようにだけ気をつけて、10日たったら自分で抜糸をして下さいと言われた。「いやー自分で抜糸!出来るのかな」さすがに安い料金だとこうなのかしら。取りあえずビーをケイジにいれたが、しばらくしてネコのお家のベランダに出してみた。ところが大雨の中を逃走。傘をさして外に探しに行く。いきなりのドロドロ。家に連れ帰り綺麗に拭いてやり膝に乗せて抱く。ビーはとても嬉しそうに喉をごろごろ鳴らし、手をグーパーグーパーして、子供が母親のおっぱいを飲んでいるような仕草をしている。子供の頃の母猫のぬくもり思い出しているかのようだった。 考えてみたら、人間が勝手に子供を引き離し、避妊手術をさせられ子供も堕ろされて、こいつも大変な思いをしてるんだなあと思う。その晩はサッカーのWカップを見ている間もずっとおとなしく膝の上に乗っていた。その日から、私がビーのよりどころになってしまった。

その夜から、ビーは私の部屋で寝るようになった。痩せていて、持ち運びも片手でひょいと嘘みたいに軽い。パソコン打っていてもおとなしく膝に乗っている。ベランダから家の中に入る時にマットに転がり大喜びする。いっぱいご飯を食べて少しずつ肉がついて来た。

術後10日たった日に、 寝ているところ抜糸を試みた。先生が言われた通り、8カ所の結び目は分かるが、眼は老眼だし透明糸は分かりにくくて、ネコはおとなしくしているが恐くてうまく切れない。結び目の上だけ切ってしまった。諦めて先生に電話をして、抜糸に来て頂く日程を決める。

抜糸の日、約束の時間に先生がアシスタントと一緒にやって来た。いつもとってもおとなしいので、私は何も心配していなかった。ところが先生が玄関に現れた途端に、逃げた。

二階の端に行ったビーを捕まえて、階段を下り、仕事部屋で待っている先生のところに連れて行った途端、すごい力で暴れ抑えされなくなり、ものすごい勢いで二階に走ってまた逃げられた。  続く